今日は安曇野の貞享義民記念館をご紹介。
貞享義民記念館は1686年に松本藩で起きた百姓一揆「貞享騒動」をテーマとした資料館です。
まだ比較的新しい建物で、「ふるさと創生資金で建てました」感がぷんぷんしてきました。
大金の使い道に悩んだ挙げ句珍スポットを作っちゃったパターンは時々見かけますよね。
いいぞ、ふるさと創生事業!
とはいえ、ここはかな~~り真面目に貞享騒動が学べるスポットです。
入館するとすぐに館長さんが近寄ってきてくれて、どうぞどうぞとまずは貞享騒動を学ぶことができる立体シアタールームに連れて行ってくれました。
これがなかなかのクオリティで見ごたえあった。
まず貞享騒動とは一体どんなもんなのか?
当時松本藩では年貢一俵あたりに三斗の米を入れるという決まりがあったという。
しかし松本藩以外の周りの藩では一俵あたり二斗五升だった。
つまりこれがどういうことかというと、同じ一俵を納めていても松本藩だけたくさんの米を納めなければならなくなってしまうのだ。
それにも関わらず、藩は更に一俵あたり三斗五升への引き上げを要求してきたという。
これに怒った多田加助を中心として起こった百姓一揆が「貞享騒動」である。
最終的に加助たち農民は藩に捕えられて処刑され、加助は磔になりながら「二斗五升だぞ!!二斗五升だぞ~!」と叫びながら息絶えていったそうだ。
「二斗五升だぞ~~」
これらの物語がかなりドラマティックな映像で再現されている。
お金をかけただけあって(おそらく)、見ごたえ充分!
劇が終わると、館長さんが再び現れて館内の展示物を説明しながら廻ってくれた。
館長さんの熱意ある解説は、多田加助への愛がひしひしと伝わってくるようであった…。
私が一番面白いと思った展示はこちら。
松本市里山辺区でずっと祀ってきた「加助様絵姿」である。
この地域の各家は順番にこの掛け軸を家に泊め、食事を備え、香を炊き、鐘を鳴らすという行事をしてきたのだという。
この信仰行事自体は十年ほど前に取りやめたそうだが、現在でも多田加助への信仰が残っていることに非常に驚いた。
ちなみにこの掛け軸の絵の中に「南無阿弥陀仏」という字が隠れているのだが…写真だとちょっと見づらいかな?
館長さんがつきっきりで説明してくれるし、小さくて地味だけど満足度の高いスポットでした。
百姓一揆が好きな人(そんな人いるか?)にはかなりオススメである。
最後に館長さんに何となく「加助が『二斗五升だぞ!』って叫びながら死んでいったっていう記録はどこかに残ってるんですか?」と訊いたところ、「あーー…それはないんですけどねぇ……」と言われ、お互いなんかスイマセンって感じになったからこの質問はNGだぞ!!!!
(訪問日:2012年12月)
[貞享義民記念館]
珍度:60%
オススメ度:60%
公式サイト
住所:長野県安曇野市三郷明盛3209
営業時間:9:00-17:00
定休日:月曜日
駐車場あり
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