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【長野】諏訪信仰の濃さをとくとご覧あれ! 神長官守矢資料館

諏訪大社で有名な諏訪に、珍スポ好きが泣いて喜びそうな素敵すぎる資料館があると聞いて行ってきたよ!

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建築家・藤森照信さんが建設したカッコイイ建物。


ここは諏訪大社本宮のすぐ近くにある「神長官守矢資料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)」。

名前難しすぎて覚えるのに時間がかかったのだが、ここはつまり神(に仕える)長官(である)守矢(さんの)資料館なのだ。

諏訪の神様といえば諏訪大社に祀られているタケミナカタノカミなのだが、この守矢さんは神長官でありながらタケミナカタの敵とも言える神様を先祖に持つ一族なのである。


まず「タケミナカタって誰ぞ??」という方の為にさくっと説明いたしましょう。

タケミナカタが日本神話に登場するのはいわゆる「国譲り神話」である。「国譲り」とは地上世界を天上の神に譲った話のこと。

神話の世界は大体こんな感じで構成されていた。

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言わずとしれた天上世界の支配者・アマテラスは、あるとき「よーし、地上世界は私の孫のニニギノミコトに支配させよーっと!!」と思い立ち、オオクニヌシが支配していた地上世界をニニギノミコトにのっとらせることに決めた。

アマテラスの命令を受けて地上世界へ降りた使いのタケミカヅチは、出雲のオオクニヌシのところへ行き、単刀直入に「この葦原中国を譲ってくれ」と言った。

オオクニヌシ「うーーーん、俺ちょっと決められないわ。息子のコトシロヌシに訊いてくれ」
コトシロヌシ「えっ?いいよいいよ、あげるよこの国」

コトシロヌシはヘタレだった。

タケミカヅチ「オオクニヌシよ、コトシロヌシはすぐ承諾したけど、他に了解を得た方がいいヤツっているか?」
オオクニヌシ「あ、もう一人の息子タケミナカタにも訊いてくれ」

そう話しているとタケミナカタが登場する。

タケミナカタ「おいおい誰だ、俺の話をコソコソしてるのは!?おう?この国が欲しいってか?やるか?力比べだ!!」

そう言ってタケミナカタはタケミカヅチの手を掴んだが、タケミカヅチはめちゃくちゃ強かった。とにかく強かった。強すぎたので、タケミナカタは逃げた。とにかく逃げた。逃げまくったら諏訪に到着した。

タケミカヅチ「トドメだ!!」
タケミナカタ「ひえええええ、殺さないでくれええええ!!分かった、俺はもうこの諏訪から出ないし葦原中国もやるから許してくれ!」

それでタケミナカタは諏訪に居座ることとなり、この地の神として祀られることになったのである。チャンチャン♪


まあさくっと書くとこんな感じです。

これが日本の正史であり、タケミナカタが諏訪にやってくる以前の諏訪の話というものは記紀神話には存在しない。

だがしかし、この神長官守矢さんの先祖の神様はそのタケミナカタが諏訪にやってくる前から諏訪の地を支配していたのだという。その名も「洩矢神(モリヤノカミ)」。

そして諏訪に侵入してきたタケミナカタと先住民であったモリヤノカミが闘った結果、モリヤノカミは敗れこの地はタケミナカタの支配地となったのである。

たいてい土地を争って部族同士が闘った場合は負けた方が駆逐されてしまうのだが、このモリヤノカミを先祖とする守矢の人々はそういう目には遭わなかった。

タケミナカタを祭神とする諏訪大社では、タケミナカタの子孫である諏訪氏が大祝という生き神の位に就くのに対し、モリヤノカミの子孫である守矢氏は神長官という筆頭神官の位に就いていたのである。
神長官には呪術の力があるとされており、政治的権力を握っていたとも考えられているそうだ。こうして守矢一族はこれまでの信仰を守りながらも、諏訪信仰の中へと融け込んだのである。

そしてなんといっても守矢氏に謎に充ち満ちた魅力を感じるのは、祭祀に関する秘法を一子相伝・口伝のみで伝えてきたということ。真夜中、火の気のない祈祷殿の中で行われるという極秘の秘法伝授・・・格好良すぎ!


しかしモリヤノカミから七十六代まで連綿と受け継がれてきたその秘法であったが、明治の激動期を経てその口伝は消滅してしまったという・・・嗚呼、なんと勿体ない・・・・・・


前置きが長くなったが、つまりその守矢氏に関する資料が集められたのがここ「神長官守矢資料館」なのである。


さて、何がどう珍スポ好き垂涎のスポットなのかと言うと、資料館に入ってすぐのところに展示されている「御頭祭の再現」があまりにアングラなのである!!

この「御頭祭の再現」は江戸時代の民俗学者・菅江真澄によって描かれたスケッチを元にして作られたそうな。菅江さんGoodJob!!


それでは早速ご覧いただこう。

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まず壁にずらっと並んだ75頭の鹿と猪の首。
現在の祭りでは剥製で代用しているらしい。

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串刺しにされたウサギちゃん・・・pq

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脳和え、生兎、生鹿なる捧げ物。
生鹿と生兎は肉を煮て味付けした物。生ではないらしい。

脳和えは鹿の脳みそと肉を混ぜた物。この資料館の建築家・藤森先生はこれを食べてみたんだそうな・・・う~~ん、わたしはあんまり食べたくないかなァ・・・。

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耳裂け鹿。

なぜか一匹だけ耳を裂いた鹿が捧げられていたというのが諏訪大社七不思議のひとつらしい。
御頭祭は諏訪大社で最も重要な祭祀であり、守矢氏によって執り行われてきたものであった。
真澄の記した御頭祭の様子では、御神(おこう)と呼ばれる子供を「御贄柱」に押し上げ、立木に縄で縛り付ける、なんていう記述も見られる。その子供はかつては殺されたという伝えもあるらしいのだが・・・。
贄として捧げられる鹿・兎・猪や「御贄柱」に押し上げられる子供・・・なんとも信仰心渦巻く興味深い儀式である。


その他の文書などの資料は近世の物が多く、学芸員の方が「これはたいしたもんじゃないんですけど・・・」と言いながら説明してるのがちょっと面白かったwww古代のものが残ってないのは残念だねえ
モリヤノカミの話は勿論、御頭祭についても全く知らないことばかりだったのでサイコーに面白かった。学芸員さんもいるし、色々教えて貰えるよ!


ちなみにこの資料館の周りには他にもオモシロスポットが点在している。

七世紀頃に造られた古墳や
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資料館の建築家である藤森さんが制作したアート作品、茶室「空飛ぶ泥舟」と「高過庵」
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田園風景に突然現れる不思議なアートは間近で見るとジブリの世界に迷い込んだみたいで素敵!このブログでかつてジブリっぽくて素敵な場所など取り上げたことがあっただろうか、いやない。

資料館からジブリまで、大満足の珍スポットでございました^o^


(訪問日:2013年5月)


[神長官守矢資料館]
珍度:90%
オススメ度:90%
開館時間:9:00-16:30
休館日:月曜日・祝日の翌日(月曜の場合はその翌日も)・年末年始(12/29~1/3)
入場料:100円(高校生70円・小中学生50円※諏訪地方の小中学生は無料)
Tel.:0266-73-7567
駐車場:あり

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