昔々、沖縄県名護市にそれはそれは芳ばしい珍スポットがございました。
今回ご紹介するのは超有名観光地のナゴパイナップルパーク。
修学旅行生御用達の、沖縄県を代表する観光名所です。
行ったことがあるという方もきっと凄く多いはず。
ですが、ここはかつて有名観光地の皮を被った一流珍スポットだったのでございます・・・。
まずは私が初めてパイナップルパークを訪れたときのお話を皆様にお聞かせいたしましょう・・・。
私がパイナップルパークを訪れたのは数年前。
丁度台風が近づいていて海に入ることが出来なかった為、我々は屋内で遊ぶことができるというパイナップルパークへと足を運んだ。
まず入園料を払おうと窓口へ向かうと、凄く横暴な態度のカタコトの店員が現れ、金を受け取ると無言で右の方を指した。何なのか、全く判らない。
この時点でただならぬ空気を感じ取った。
状況がイマイチ把握できないまま右の方へ向かうと、突然これまた無愛想な店員が「これ持ってください」と作り物のパイナップルを渡してきた。
有無を言わさずパイナップルを持たされると「パイナップル大好きーって言ってください」と言われ、言われるがまま「パイナップル大好きー」と言うと写真を撮られた。
おそらく全て数秒間のうちの出来事である。
状況がイマイチ把握できないまま今度は乗り物に乗せられ、パイナップル畑を延々と見る旅が始まった。
とは言えこれはパイナップルパークのメインアトラクションであり、それなりに楽しめる。自動で動く乗り物はよく出来ている。
パイナップル畑を見終わると、店員が「先ほどの写真できてますよー」と言ってきた。つまりディズニーランド形式で写真を販売しているのだ。
一応見てみようかなあと写真売り場に近づくと「買いますか?買いませんか?買いませんね?じゃあ捨てますよ」と怒濤の勢いでまくし立てられ、「じゃ、じゃあ買います!」と思わず買ってしまうというかつてないシステムを導入している。そこがディズニーランドとの違いである。
ちなみに、「パイナップル大好きー」と言っている顔は完全にこわばっていた。
そのまま順路を進むと、いつの間にか貝殻ばかりが展示してある貝殻パークにいることに気づく。我々が入ったのはパイナップルパークではなかったのだろうか・・・?
興味のない貝殻を延々と見ている内に次第に意識も朦朧とし、自分が何をしているのか判らなくなってくる。
まるであやかしに惑わされたような気持ちになりながら貝殻をひたすら見続けると、道が開けて再びパイナップルパークへと誘われた。
そしてここからがパイナップルパークの真のメインアトラクション・お土産売り場である。
やたらと押しの強い店員のおばちゃんが試食を勧めてきて、試食をすると「買うよね?ショッピングバッグ入れとくよ~」と有無を言わさず購入させられるという斬新なシステムをここにも導入している。ここは日本じゃねえ、とその時私は心から思った。
広大なお土産売り場を抜け出ると、やっと外に出ることができた。
これが沖縄を代表する観光地・パイナップルパークの全貌である。
当時は普通の観光地だと思って行ったこともあって、パイナップルパークは強烈な感動と共にわたしの記憶の中に染みついたのでありました。
そしてこの素晴らしい世界を友人にも是非教えてあげたいと思い、私はこの度再びパイナップルパークへと足を運んだのであった。
まず、かつて国籍不明の店員が横暴な対応をしてくれた受付へ行く。
しかしそこには見るからに日本人と思われる店員さんの姿が・・・。
店員さん「右のパイナップル号乗り場へ行ってくださいね~(にこやか)」
しゃ、社員教育がしっかりなされている・・・!!!!???
全くの別物じゃないか!あの店員はどこへいったんだ!!!
出だしから若干の混乱を押さえられない気持ちになりながら、パイナップル号こと自動で動く車の元へ向かう・・・。
そこには案の定、カメラマンの姿が。
今回パイナップルパークを再訪した目的は、最早この「パイナップル大好きーを言う」ことであると言っても過言ではない。
我々にとってのメインイベントは車に乗ることではなく、その前にパイナップルを持って「パイナップル大好きー」と棒読みすることなのだ。
だがしかし、プラスチックで出来た作り物のパイナップルが見あたらない。
以前は無理矢理握らせてきたというのに、全くその気配もないまま「カメラの前に立ってください」と言われた。
まさか・・・と思いながらカメラの前に立つと、「撮りまーす、ハイチーズ」
う、うそだろ・・・・・・
作り物のパイナップルを持てない上に、「パイナップル大好きー」すら言わせてもらえないなんて・・・
何のためにここまで来たと思っているんだ!!!!!!
悲しみを抱えながら、私はパイナップル号に乗り込んだ。
折角なのでパイナップル号に乗りながら撮った写真をいくつかお届けしたい。
このような風景が延々と見られます。
こちらは小さなパイナップルが生っている様子。
なんだかシュールな巨大パイナップル。
パイナップル号を降りると写真販売のコーナーがあるが、パイナップルを持っていない写真に興味などないしきっと店員さんはあの「買わないなら捨てますよ」店員ではないだろうから素通りした。
続いて、貝殻パークへと向かう。(正式名称は貝の博物館らしい)
ここは相変わらずくらくらしそうなほど貝殻が展示されていた。
勉強になる貝図解
しかし訪問二回目ともなると心が落ち着いているので、今回はしっかり貝殻を見ることが出来た。よく見ると、貝殻とはなかなかアーティスティックで面白いものである。
彩色していないのにこんなに美しいのか~と見入ってしまった。
意外と奥が深い貝殻の世界だが、とはいえパイナップルパーク内に展示されている理由は相変わらず不明である。
さて、最後はパイナップルパークの本質であるお土産売り場。
さすがにここだけはきっと変わらず押し売りをしているだろう・・・と期待しながら歩を進める。
店員さん「試食どうぞ~」
早速誘ってきた!(期待)
「売りつけられるぞ~~~売りつけられるぞ~~~!!!」と思いながら試食に臨む。
だがしかし、その商品を無理矢理ショッピングバッグに入れてくるような気配は全くない。
そもそも店員が押しの強そうなおばちゃんではなく、爽やかなお姉さんである。
まさか・・・と再び思いながら「ちょっと考えます~」とその場を立ち去ろうとすると、「ありがとうございました」とあっさり解放されてしまった。
あのギラギラとした商売の鬼達はどこへ・・・
涙でパイナップルケーキがしょっぱいよ・・・。
こうしてかつて一流観光地の皮を被っていた一流珍スポットパイナップルパークは、素晴らしい社員教育の末一流観光地として完成したのでございました。
~fin~
とまあこんな感じで数年前と比べてすっかりマトモな施設になってしまったのだが、パイナップル号は楽しいし貝殻パークはシュールだしパイナップルケーキは美味しいので行く価値は充分あると思います。
それにもしかしたら横柄な店員の残党がまだいるかも知れないので、気はぬけませんな。
(2013年9月)
[ナゴパイナップルパーク]
珍度:70%
オススメ度:80%
公式サイト
住所:沖縄県名護市為又1195
営業時間:9:00-18:00(年中無休)
入園料:(大人)600円
駐車場有り
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