青森ブロガーねこぜさんが以前紹介していたこちらの「おじさんが釜茹でになる祭り」。
あまりにも画力が強いのでどうしても見たくなり…急遽行ってきたよ!!
このおじさん釜茹で祭りこと火祭りが行われるのは、新青森駅から程近い元城山照法寺。この祭り、こんな秘境感マックスな見た目なのに都会にあってアクセスしやすいの助かるぜ!(笑)
11時ちょうどに到着すると、まさに祭りが始まるところだった。
この火祭りは不動明王の祭りで、不動明王が背負っている炎によって業や煩悩を焼き尽くす「火生三昧」と呼ばれる祭りのひとつだ。
この火生三昧自体は全国で行われているようだが、青森では「津軽火性三昧」といい、例の釜茹でのようなオリジナルレパートリーが加わっているのだという。
祭り冒頭から釜の下には火が焚かれ、早くも熱湯風呂が作られていた。
えっ、本当にここに入るの?大丈夫…??という不安な気持ちが最初から止まらない。
まずは四方を囲む明王を御幣や刀で浄めていく、という儀式が行われる。
四方それぞれに向かって「イヤァァーーーッ!!」と叫びながら行者が空中を刀で切り、「ぶぉ〜〜〜」と法螺貝が鳴る……すでにめちゃくちゃオモシロイ…………
釜の中の湯にも斬りつけていく。
四方の浄めが終わると、真ん中に高く積まれた杉の護摩壇にも火がつけられて祈祷が始まった。
モクモクと煙が上がり、お湯の湯気と相まって熱気がヤバイ。
お経とシャンシャンシャン……という錫杖の音と煙と暑さでだんだんクラクラしてくるぞ………
すると観客たちが急に荷物を僧侶たちに渡しだした。それを持って護摩壇に向かう僧侶たち。
エ!?荷物焼いちゃうの!!と思ったのだが、どうやら煙を浴びせることで持ち物を浄化してもらうらしい。真似してわたしもスマホを渡して浄化してもらった。今この文章は浄化したスマホから書いているのでありがたい文章です。
さて、護摩の祈祷が終わるといよいよ津軽火性三昧のオリジナルレパートリーが始まる…!
まずは「松明の行」
4人の男が松明を口に咥え(!?)、更に両手で松明を持って、ピョンピョンとうさぎ跳びのようにリズミカルに跳ねる。
そしてその手に持っている松明を急に袖の中に通す……!!!
熱いて!!!
これら火生三昧の行は行者自身が不動明王と一体となって行うものなのだという。確かに生身の人間と思えぬトンデモ修行だ。
炎にばかり気を取られがちだが、地味にうさぎ跳びもすごい。家で真似してみたけど(真似してみたのか)ずっとやってるのマジきついよ。
続いて「鉄鍬(てっか)の行」
今度は燃えている地面の炭を素手でいきなり触りだす行者たち。再び熱いて!!!と思っていると、炭の中からなんとギンギンに熱くなっているであろう鉄の鍬が出現した…!!!
そしてそれを掴み、「ふどみょおー!!(不動明王!)」と叫びながらポーズを取る行者たち。
実はこれが一番危険な行らしい…!!内藤正敏の『鬼と修験のフォークロア』によれば、鍬を包む懐紙が破れて大火傷になった事案も過去にあったという……。そんなに危険なのにどこか滑稽さがあるのがすごい…。
そしてメインエベントの釜茹での前に、「湯花の行」が行われる。
煮えたぎっている釜の中の熱湯を、行者たちが笹の葉でバッシャバッシャと散らしまくる…!!
かぶりつきワイ、見事に熱湯食らいました(笑)ふつうに熱かったです。近くにいた人に「御利益がありますよ~」と言われました。
そしてお待ちかね、釜茹でこと「熱釜(かま)の行」である…!!
この釜に入るのは満を持して登場する御年70歳の住職。
なんと脚が悪いことから今年を最後に引退し、来年からは三代目があとを継ぐのだそうだ。
お付きの者たちにサポートされ、釜の中に入る住職。
お釜へ、IN………
見よ、これが「熱釜の行」じゃい……!!!
壮絶すぎる絵だ。
釜に入っていたのはほんの数秒だったけど、あれ以上入ってたら茹で上がっちゃうもんな……。
そして釜から出たあとは釜の中の湯をかぶり、そのまま釜をかぶって前に歩いていく…!!よく分からなすぎる。
こうして行者が不動明王と一体となり行われる津軽火性三昧のオリジナルレパートリーが終了した。想像の100倍壮絶&怒涛だった………。
最後は「参拝者の皆様も不動明王と一体となって火渡りをしましょう」とのことだったので、火渡りに参加してきました。
人生初火渡り。思ったよりは熱くなかったけど、めっちゃビビってしまい(顔がビビりまくっとる)燃えてないところ踏んでしまったね……。不動明王と一体になれたかな??
そんな感じで照法寺の火祭りは住職が茹で上がってしまうこともなく無事終了。
内藤正敏『鬼と修験のフォークロア』によれば、安政二年(1773年)と天保九年(1838年)にここ津軽で悪疫が流行した際にも行われたというこの津軽火性三昧。内藤氏は「あまりに危険すぎてほかの地域では行われなくなったのではないか」と書いていたが、それも納得のとんでもない祭りであった……
最初から最後までクライマックスすぎて、めちゃくちゃオモシロかった!!来年以降の三代目の火性三昧も気になるし、ほかのお寺のも見てみたいなぁ〜!!
(2023年6月)
参考文献:内藤正敏『鬼と修験のフォークロア』
火祭りを紹介しているねこぜさんのブログはこちら
コメント
えっ?マジで?ダチョウ倶楽部でもせーへん