群馬県随一の観光名所、鬼押出し園。
シュールな鬼。
突然だが、よく群馬と栃木は張り合っている、などと言われる。しかし実際のところ群馬は逆立ちしても栃木さんには敵わないと思っている。
栃木さんにはなんといっても徳川のお膝元の日光があるし、鬼怒川もあるし那須もある。栃木は言うまでもない観光立国だ。日光市だけでも国力は明らかに群馬県以上である。
群馬には観光地らしい観光地はない。せいぜい草津や伊香保といった温泉地くらいだろうか。しかし伊香保で観光しようとしても珍宝館や命と性ミュージアムといったおかしな場所ばかりが目立っている。
そこが群馬の良いところだとわたしは思っているが、世間的に見れば観光地はないくせに性的な施設はあるという完全にヤバい県だ。
そんな観光底辺県群馬の誇る数少ない一級観光地こそ、浅間山の「鬼押し出し」と呼ばれる奇景である。
(一級観光地と言ってもご覧のようにまあまあ寂れているんだけどね・・・)
以前分福茶釜の茂林寺で紹介したように、群馬には群馬県民の脳髄に呪詛の如く染みついている上毛カルタというカルタがある。
子供の頃から意味も分からず読み札を唱えさせられることで、気づいたときには上毛カルタの全てをそらんじることが出来るようになっているという仕組みだ。上毛カルタ知らずして群馬県民にあらず。
そして今回ご紹介する「鬼押し出し」は、「浅間のいたずら鬼の押し出し」として上毛カルタの顔ともいえる「あ」の読み札になっている。まさに「鬼押し出し」は群馬の顔なのだ。
ではその「鬼押し出し」とは一体何かと言うと、浅間山の噴火によって流れ出た溶岩が固まったものである。黒々とした溶岩が押し寄せるようにして固まっている様がまるで鬼が押し出したかのようなビジュアルであることから、そのように呼ばれている。
浅間山にはこのような景色が一面に広がっており、まさに奇景と言うにふさわしい。
赤城山、妙義山、榛名山の上毛三山と共に群馬県民に親しまれている浅間山だが、今も活動中の活火山である。実はいつ噴火してもおかしくない状況ということで、ちと怖い。
この鬼押し出しは天明三年(1783年)の大噴火のときに流れ出た溶岩で、距離にして5.5キロにもなるという。現在は鬼押し出し園として開放されている。
天明三年の大噴火というのは浅間山史上最大の噴火であり、その被害は甚大であった。群馬県内だけでも1400人以上の犠牲者が出たという。200年以上昔に人々を襲ったその溶岩が固まって観光名所になったと思うと感慨深い。
で、本日の記事のメインはこの鬼押し出し園
ではなく、
併設されている「浅間火山博物館」である。
「浅間火山博物館」は浅間山が誕生し形成されていった歴史や火山そのものの仕組みを学ぶことができる体感型博物館である。
何がどう体感型なのかというと、
入館するとすぐに広がる地球の神秘!!
浅間山が誕生した頃の古代、及び浅間山の地底をイメージしていると思われるトンネルである。その名も「地底マジカルホール」。この博物館はただ資料で学ぶだけではなく、浅間山や火山を我が身で体験できるのだ!
完全にわくわくする!
足元では恐竜(もしくはエイリアン)の卵が今にも孵化せんと蠢いている。
浅間山、関係ない。
古代の謎の生物も光輝いている。
謎の生物は、静電気で光がくっついてくるアレ(名称不明)だ!
でも浅間山、関係ない。
浅間山に関係ない地底マジカルホールを抜けると、小さな入り口が現れる。
横には「心臓の弱い方はご遠慮ください」の文字。
な、何があるって言うんだ・・・???
おそるおそる中に入り、橋を渡る。
そして結論から言うと、何もなかった。
あえて何か心臓に負担をかけるような点を挙げるなら、橋を囲むようにして壁が回っている点だろうか。
これが駄目なほど心臓が弱い方は、最初の地底マジカルホールで引き返していると思う。というかそもそも浅間山近辺には来ないと思う。
じわじわ魅力が押し寄せる浅間火山博物館、お次は「ロストワールド」。
火山が噴火する様が再現され、臨場感がすごい!
ここでは世界の火山について学ぶことができる。
ふと上を見上げると、謎の宇宙船らしき巨大な物体が・・・!?!?
次々と現れるオモシロ要素に期待値が上がっていく。
奥へ進む。
お次は地学展示室。世界中の火山や、浅間山の歴史について学ぶことが出来る。
歴史的資料などが並ぶ中、圧倒的に気になるギミックめいた設備が目に入った。
気になりつつ、下のモニターで火山について学べる映像があったので観ていると…
何の前触れもなくブチッと映像が消えた。
そして突如として始まる、風神さま&ピッカリ君のショータイム!!
すごい!意外なほど派手な演出だ!!
光や動きのギミックがお見事です!
風神さまとピッカリ君は火の神様などの物語をコミカルに披露してくれる。歌も高らかに歌ってくれて、めちゃ楽しい。
しかしながら記紀神話を研究していた当方から言わせてもらうと、風神さまの神話のお話は嘘だらけであった(笑)。理論が崩壊している。風神さま、もっと神話を勉強しよう。
ちなみに、途中でブチ終わった火山について学べる映像は、ショー終了後に当然の如く冒頭から再開するので注意が必要である(笑)
楽しいショーを拝見したあとは二階へ上がる。
地底探査船…??
どうやら、二階は先程見上げたあの宇宙船らしきものの中となっているようだ。その正体は宇宙船ではなく地底探査船。浅間山の中に入り込んで調査をするという。
入船すると、中では浅間山の中に入っていく様子を見ることが出来る。地底調査船はマグマの熱にも耐えうるのだ。
しかし何故か船はタイムスリップして恐竜のいる時代へと不時着してしまう。
この恐竜の映像がシュールすぎてなんか爆笑した。
ディズニーランドかと思うようなこの愉快なアトラクションを満喫し、地上世界へ戻る。二階にいたはずなのに、出口を抜けると一階に戻っているという不思議体験のおまけつきで最後まで楽しい。
もしかしてここ、群馬の博物館で一番楽しいんじゃないだろうか。エンターテイメント要素がてんこ盛りである。それでいて全体的にクオリティとセンスが微妙なのが、実にたまらない!!
群馬を代表する観光地・鬼押し出し園に行く際は、浅間火山博物館への訪問も絶対にお忘れなく。
[浅間火山博物館&鬼押出し園]
珍度:60%
オススメ度:80%
公式サイト
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