たまたま訪れた長野県安曇野市に、とっても珍しい石碑があるということで観に行ったよ!
この石碑がこちら。
ここに書かれている文字が何かと申しますと、「神代文字」という世にも珍しいもの。
わたしも良く知らなかったんだけど、「神代文字」っていうのはなんでも『漢字伝来以前に日本で使われていた日本古来の文字』なんだって!!スゲー!そんなのあるのかーーー!!!
そもそも、日本に漢字が伝来し始めたのはおおよそ一世紀頃だと考えられているらしい。
とはいえ、その時はただ漢字がやって来ただけで当時の日本人はそれを使えてはいなかった。単なる模様か何かだと思っていたんだと。
実際上級階級の人たちが漢字を勉強し、使い始めたのはどんなに早くても四世紀頃だと考えられているそうな。
と、いうことは「神代文字」ってのはおそらく紀元前後から使われていた文字、ということになる。
なんかスケールがすごすぎますね????
ワクワクが止まらないでござる・・・!!
そして「神代文字」は全国で数種類が確認されていて、ここ安曇野の石碑に書かれているのはその中の「阿比留文字」というもの。
対馬の阿比留一族が伝えてきた文字とされているらしい。
まがりなりにもちょっと古代の勉強をしていた身としてこれを知らなかったとはいと恥ずかし・・・いざ観るべし!と興奮しつつ観に行ったのでございます。
上の写真だと文字がよく見えないので、横にあった解説ボードを撮影した写真でその「神代文字」を確認してみましょう。
・・・うん?
これ、なんかハングルっぽくね・・・???
試しに、ハングルで同じ文章を書いてみた。
激似。
特に「カ」や「ノ」はほぼ同じですな。
ど、どういうことだってばよ!!!!!
そもそも、ハングル文字が朝鮮半島で作られたのは15世紀の半ば。
中国から漢字が伝来してひらがなやカタカナをなんとなーく編み出してきた日本語の文字とは全く違い、ハングルは日本と同じ漢字圏であったにも関わらず「よ~~し、俺この国独自の文字作るぞおおおおお」と(言ったかどうかは知らないが)、世宗王という人により李氏朝鮮時代に編み出された物。
文字の造りとしてはアルファベットのように子音と母音を組み合わせて一つの音を構成しております。
んで、石碑の阿比留文字もどう見ても子音と母音の組み合わせで作っている文字。そして形もハングルそっくり。
阿比留文字は紀元前からあったもので、ハングルが出来たのは15世紀・・・もしや、世宗王さん・・・阿比留文字パクった??(疑いの目)
そう思うのは無理もなく、今でもやはり「ハングルは阿比留文字を元にして作られた物」という説は根強いのです。
と、ここまでつらつらと書いてきましたが、
実はこの「阿比留文字」、一般的にはニセモノと考えられているのものなのだ。(知っていながらワクワクする感じを煽りましたサーセン)
まず阿比留文字に限らず、神代文字そのものがニセモノです。まあ常識的に考えれば、当たり前です(笑)
これら神代文字は江戸時代に流行した国学の影響下で、「なんかさ~~漢字じゃなくて日本古来の文字があったらいいのにな~~~日本古来の文字ほしいな~~~アッ、作っちゃえばいいんじゃね????」という感じ(かどうかは知らないが)で作られた、全くのデタラメな文字。
しかし江戸時代にはとにかく「日本最高!!」な国学が流行していたので、日本古来の文字「神代文字」は大人気だったらしい。
そして阿比留文字はおそらく「あーーー俺も神代文字作りてーーなーー。なんか隣の国の文字とか誰も知らないだろうし、これちょっと変えたら神代文字になるんじゃね???」という感じで対馬で作られたのではなかろうか。
ご存じ対馬は朝鮮半島とも近く交流もあった場所だから、文字の流入があったとしてもなんら不思議ではない。
阿比留文字に関しては前述の通りハングルとの類似から「ハングルは阿比留文字を元にして作られた!」と唱える学者もいるのだが、正直それはないだろうとわたしは思いますデスヨ。
まずそもそも、阿比留文字もやっぱり江戸時代になってその存在が世に出てきた物。ハングルより古いという証拠は何もないのだ。(まあハングル自体もちょっと由来のハッキリしない文字だが、阿比留文字よりはマシであるw)
また、阿比留文字には50音しかない。
つまり今の日本語と同じなわけだが、現在確認できる古代日本の音節は88音なのである。昔の日本人は今の日本人よりも多くの音を使い分けて喋っていたのでございます。
日本語が50音になったのはおよそ平安時代中期と考えられているので、阿比留文字が「神代」に使われていたものでないことは確実なわけ。
ということで、阿比留文字はやっぱり「江戸時代にハングルを元にして作られたデタラメな文字」というのが正解だと思うよ。
ただこれは確固たる証拠もないので、「ハングルは阿比留文字を元にした!!」説だってまさに「信じるか信じないかはあなた次第」な都市伝説なのである。
ところで安曇野の阿比留文字石碑の解説がほどよい。
自賛もせず、多くを語ることもない・・・これぞ、男!!
そんなこんなで、たまたま訪れた先で非常にオモシロイものを観ることができて僥倖でした^O^
(訪問日:2012年11月)
[本村の神代文字碑]
珍度:90%
オススメ度:80%
住所:長野県安曇野市豊科1908
駐車場:あり
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