スポンサーリンク

【台湾】踊る無常と血まみれ童乩(タンキー) 淡水大拜拜

台湾のお祭り「淡水大拜拜(清水巖清水祖師遶境儀式)」に参加してきました!!
台湾初心者かつ国外のお祭り初心者によるビギナー感丸出し記事ですが、これから台湾の祭りに行ってみたいという方の参考になれば嬉しいです!

私が台湾のお祭りに興味を持ったのは、以前バズった副主席さんのこちらのツイート↓を見たのがきっかけ。

このツイートを見た瞬間、即「このマッドマックス!!!観たい!!!!来年絶対行く!!!」と決意した。

しかしそんなアツイ気持ちだけでこの學甲上白礁について少しずつ調べだしたものの、ちょうど祭り開催の4月の前が多忙で調査になかなか時間が割けなかった。またここは台北から遠い台南の近くで開催されていて、アクセスが悪くフライトも高い…。

日本の祭りはたくさん行っているものの、海外は完全に専門外なので正直システムや巡り方など何もわからず(当然言葉もわからず)、調査不足のまま行くのは不安すぎた。

また友人が台湾の知人に聞いたところ「學甲上白礁」だけがこういう祭りなのではなく、台湾の祭りはだいたいこんなもんらしい。こんなとんでもない祭りなのに「そんな祭りたくさんあるから良く分からない」と返答されて「台湾ヤバすぎだろ」となった。

ということで、それなら別のお祭りを攻めるのはどうだろう?と他の行きやすい祭りを探してみることに。

そんな中、「電哪吒」というとんでもなく最高な存在を知ることとなる…!!

台湾のお祭りでは神様がたくさん出てきて闊歩する遶境というパレードのようなものがしばしば行われるのだが、その中に三太子という神様がいる。三太子とは正式名称を哪吒三太子といい、毘沙門天の息子とされ見た目がとても可愛い神様だ。
そして電哪吒とはその三太子がなぜかテクノポップに乗せて踊りまくるものなのである…!

何を言っているかわからないと思うので電哪吒の公式youtubeを見てほしい。

アイドルじゃん……!!

こんな感じで三太子たちが華麗な舞を披露するのだが、いくつかグループが存在するらしい。それもアイドルすぎる。
いくつかあるグループの中でもこの動画のグループは電飾がめっちゃイカしていて、元々アイドルのオタクでもある私は「このアイドルのライブ行きたい」の気持ちが急激に強くなった。

完全にこの電哪吒に魅了された我々はインスタをくまなくチェックし、彼らが去年参加した祭りをつきとめていった。すると去年の淡水大拜拜という祭りに参加しているではないか………
調べるとこの祭り、台北から電車で1時間とアクセスしやすい場所で開催されており、時期も6月でちょうど良かったのでほぼ即決でこの祭りに行くことが決定した。

目的がマッドマックスからなぜか電哪吒に変化してしまったが、かくして旧暦の5/5である6/10に台湾に飛ぶことになった。
 

この淡水大拜拜は2日間に渡って開催される。元は疫病が流行ったときに生まれた厄病避けの祭りらしいので、日本で言うところの祇園祭的な感じだろうか。

1日目は暗訪といい、いわば夜祭的なものらしい。夜祭とはいっても14:30くらいから始まるようで、15:00すぎに淡水駅に到着したところ既に駅前には例のマッドマックスのような車「藝閣花車」が列をなしていた……!!!

さらに中華圏のお祭りといえば爆竹が欠かせない。発砲事件かと思うほどの爆音がそこかしこで鳴り響き続けている。しょっぱなからテンションのぶち上がりが半端ない。

ホテルに荷物を置いて早々に街に繰り出した。
結果から言うと、気温32度くらいの中15:30くらいから23:30くらいまで約8時間ほぼ休みなく祭りを追いかけて歩き続けてしまった。台湾の祭りには相当な体力と脚力が要求される。

この淡水大拜拜は淡水清水巌というお寺のお祭りだが、その近辺にある様々な廟の神様が参加してパレードのように街を練り歩くのである。
街中には小さな廟が無数に設置され、そこに神様を乗せた神輿や陣頭と呼ばれる様々な団体がお参りに来る。

一応ルートは決まっているらしいが、どこでどの神様に出会えるか分からないので我々もひたすら歩き回って神様探しに勤しんだ。

まずはぜひ会いたいと思っていた無常たちにたくさん会えたのが嬉しかった。
無常とは七爺八爺の名でも知られる神様で、以前紹介したマレーシアの地獄↓などにもいた道教の神様である。

無常については無常くんさんという無常研究の第一人者の方が本を出されているので詳しくはそちらを読んでいただきたいが、主に黒無常(小さいほう、八爺)と白無常(大きい方、七爺)のセットで祀られていたり行動していることが多い。

大きい白無常がベロを出しているのは首つり自殺したからという説があるらしい

祭りでも軽快に踊る黒無常と悠々と闊歩する白無常がだいたい2人以上の数で移動していた。

また無常の首にはパンがぶら下がっていて、おじさんがそれをちぎってくれたのでありがたくいただいた。

それをツイッターに書いたら友達に「食べる用なの?」って訊かれたけど、何も考えずに食べたからわからん(笑)神棚に置くとかそういうルールあったらすみませんww


ちなみに台湾の祭りといえば何故かセクシーダンサーが有名だが、この淡水大拜拜でもセクシー姉さんのセクシーダンスはいたるところで披露されていた。

「神様からのセクシー姉さん(withEDM)」大事なことなので2回言いました
セクシー姉さんにファンサ貰ってこの旅一番の笑顔になっているおれ


夜には黒無常とセクシー姉さんのBLACKPINKダンスバトルが急に勃発。祭りの音楽とBLACKPINKがまさかのマッシュアップ。

無常がBLACKPINKを意識したダンス踊ってるのが面白すぎる。


ほかにも八家将のカッコイ~演舞が見られたり、

なんかポンチな藝閣花車という山車がみられたり

なぜかちびまるこちゃんリスペクトの車がいたり(そしてなぜか爆音でEDMを流している)

などなど本当に盛り沢山だった。


だが無常はとにかくたくさん観測できたのだが、三太子は本当に全くというほど見かけなくて……

夕方に1回この三太子の抜け殻に遭遇してテンションぶち上がったものの、抜け殻だったので動かず……(定期的に巡業は休憩して、その間は神様は抜け殻となる)

再開してからひたすら歩き続けて探すも、歩くルートも良く分からず二度と見つからなくて泣いた……


今更だがお寺にお参りしていなかったことを思い出し、清水巖祖師廟にも足を運んだ。

清水巖祖師廟は絢爛豪華なお寺で大変美しかった。

また寺の前では台湾の浅香光代的な人(かどうかは知らんが)が劇をやっていた。

あたしゃ許さないよ!!

そうこうしているうちに完全に夜となり、祭りのボルテージは最高潮となってくる。

電飾付きの花車も映えてくる時間帯になってきた。


夕食に淡水名物だという阿給なる食べ物(油揚げの中に春雨が入っている)(絶対食べるべき!というほどのものではないがそれなりの味)を食べていたところ、今までにないとんでもなくデカイ爆竹の音が聞こえてきた。阿給もそこそこに外に見に行ってみると、駅前のビルの目の前でドデカ花火が打ち上げられてて度肝抜かれた。そんなところで花火って、やっていいのかよ!?!!?


馬鹿デカ花火を横目に、電哪吒を探しにまだ行っていない広場のエリアを目指すことにする。

正直この時点で行列を追いかけて5時間くらい歩き続けていたので足が本当に死んでいた。死んだ足で人が多い広場の方を目指すのはかなりしんどいものがあったのだが、電哪吒に会いたいという気持ちだけで歩いていった。

 
人混みが特にすごい廟の前に辿り着き、ふと横を見ると目の前に真っ赤に濡れた人がいた。

人は不意に衝撃映像を見ると脳がそれを理解するのに時間がかかるらしく、それが何なのかすぐに分からなかった。

よく見ると頭に金棒がつきささっていて、体にも針が貫通している。

つまり、血まみれなのである。
目の前の人は血で真っ赤に濡れているのである。

状況を理解するのに3秒くらいかかったが、そこにいたのは正真正銘・血まみれの台湾シャーマン「タンキー(童乩)」だったのだ……!!!


4人くらいの血まみれタンキーが人混みの中をうろうろしながら頭に金棒をぶっ刺したり急に引っこ抜いたり………

そのうしろではまた異常ドデカ花火が急にぶちあがり、この場の情報量が多すぎて脳みその処理が追いつかない。タンキーもドデカ花火をチラ見してるの面白いな。

血まみれタンキーが座っている廟の元へ、踊りながら神様や仮装した人たちが楽しげにやってきた。血まみれの人とダンサー、見たことのない組み合わせである。

最後タンキーがちょっと暴れるの怖い。


タンキーが頭に金棒をぶっ刺した瞬間、大爆笑する私。
いやこれ本当に現場にいるとめちゃくちゃすぎて笑いが止まらなくなるんですよ……

「怖い!怖い!ワハハハハ!!!」て言ってるやつの情緒が一番怖くてやばいわ。

でも動画でも言っているように、本当に騒いでるのは私と友人だけで台湾の人たちは平然とタンキーを見ていた。
マジでこれは台湾の人たちにとって当たり前の光景なんだなぁ…と痛感する。

頭に金棒刺して仁王立ち、なんかわからんけど未知の面白さある。

ちなみにタンキーが血まみれになるのは、神霊の威力を表すためらしい。「神がかってるからこんなことしても平気だよ~ん!」てことですかね……。
『童乩 台湾のシャーマニズム』という本によればタンキーは神の媒介者として神の言葉を信徒に伝え、信徒たちはその言葉によって行動を起こすとのことらしいが、言葉を伝えてる感は一切見受けられなかった(笑)
基本的にタンキーは昼間は普通の仕事をしていて、世襲制なことも多いとか。世襲制でこれやらされるの絶対イヤなんだけど、台湾の人的にはそれも抵抗なく受け入れられるんでしょうか……。


ひとしきり神がかりタイムが終わったのか、タンキーの顔にぶっささっていた針(串??)をひっこぬく人。

水を口に含んで吹きかけながら引っこ抜いていて、なんの意味があるかわからん(笑)消毒ならともかく、よだれ入りの水って何なんだ、余計汚いだろ(笑)

そしてタンキーを見ている間、間違いなく今年一番のアドレナリンが大放出され、私は足の痛みも1日の疲れも微塵も感じない体になっていた。これがタンキーの神がかりの力……おそるべしタンキー……。


一通りタンキーを堪能したあと、我々は当初の目的だった電哪吒探しを再開した。しかしながらこの日は夜11時すぎまで徘徊しても最後まで電哪吒を見つけることはできなかった。

電哪吒に会いたすぎてかなり後ろ髪引かれたが、足が限界過ぎたので1日目の淡水大拜拜 暗訪はこれにて終了となった。電哪吒に会えなかったのは残念だったが、予期せぬタンキーの登場で満足度は500%くらいだった。

外は24時過ぎまで爆竹の音やEDM音が鳴り響き続けていて、私は夢の中でも祭りに参加し続けていた……(友人も同じ夢を見ていたらしい笑)

翌朝、「日巡」である。
正直昨日の時点でかなりいろんなジャンルの神様や出し物を堪能したので、電哪吒以外に目新しいものはあるのかな〜?と思いつつ外に出てみたところ、早速昨日はいなかった八仙(七福神的な仙人)に遭遇。いきなりテンションがぶち上がってしまった。

口上のようなものを読み上げていて可愛いし何言ってるかわからんけど間違いなく縁起がいい〜!

朝イチなのでみんなまだ元気な気がする(笑)ここから夜まで歩き続けるの、本当にお疲れ様です…の気持ちである。


そして歩き始めて早々に、あっさりと電哪吒に遭遇…!!!

可愛い!!

正直こちらの電哪吒はあんまり踊りらしい踊りは踊っていなかったけど、昨日血眼になって探していた電哪吒にいとも簡単に出会えて嬉しい〜

そのあともグラサン電哪吒に出会えて嬉しかった。

友達っぽくて気に入ってる写真。


結果的に会いたかった電飾の電哪吒には会えなかったんだけども、十分満足でした。


他にも変身後の飛影みたいな神様や


瞳がつぶらすぎて不気味な神様など

とにかくでかすぎる神様たちに圧倒されまくった2日目だった。

日巡は日中の練り歩きがメインなので、夜が深まってくると急に陣頭たちは姿を消し始めた。昨日は真夜中になってもずっと爆竹が鳴りまくっていたのに、急に祭りが終わってしまって寂しすぎた。

最後にぼんやり歩いていたらラストタンキーに遭遇…!

このタンキーにいたっては見ている人間が私達しかおらず、本当に台湾の人はタンキーに興味がないんだなぁ…と驚く。

この日のタンキーは背中をザクザク切ったあとうしろに倒れて正気を取り戻し、そのあとふつうに店の中に入っていった。意識が戻ったあと痛くないのかな……。

最後にタンキーにも会えて、ラッキーすぎた2日目だった……

こうして2日間の淡水大拜拜が終わった。
とにかく2日間ともずっと刺激的で最高以外の言葉がない。私は台湾に行くのも祭りに参加するのも当然初めてで完全にビギナー目線だから、見慣れている方には当たり前でたいしたことない光景で「こいつは何をそんなに興奮してるんだ…」と思われるかもしれない。
でもまだ台湾のお祭りに参加したことないという方には熱烈におすすめする!とにかくアクセスが良いし、規模感や長さもちょうど良くておすすめ!

今回は目当ての電哪吒には会えなかったので、また別のお祭りに絶対行くぞ!の気持ちを強く持っている。タンキーにもまた会いたいし……

台湾に行く予定のある人は、ぜひ祭りの日程に合わせて行ってみてね〜!

(2024年6月訪問)

淡水大拜拜(清水巖清水祖師遶境儀式)

日時:毎年旧暦5月5日・6日
場所:淡水駅すぐ

コメント

タイトルとURLをコピーしました